この記事はこんな方にオススメです。
- ドイツ語のDTZ試験に向けて不安を抱えている
- そもそもDTZがなんなのかよくわかっていない
私自身も、ある日突然「あなたのドイツ語力は不十分だからDTZでB1の証明書とってね」というような内容の通達をもらい、同じような悩みを抱えていました。
当時、ドイツ語はA1レベルも怪しいぐらいの初心者でした。
この記事では、DTZ試験に向けてインテンシブコース(集中コース)を受講し、約5ヶ月でドイツ語B1に合格した私の実体験を踏まえて、通常のドイツ語コースとの違いやDTZについてまとめました。
インテンシブコースは集中的に学習するため、しばらくの間ドイツ語漬けになる覚悟が必要ですが、結果的には時間や費用を抑えてドイツ語を学ぶことができ、メリットが大きいです。
DTZやドイツ語学習のコース選びに、ぜひ参考にしてください。
DTZ(Deutsch-Test für Zuwanderer)について
DTZとは、Deutsch-Test für Zuwanderer の略称で、直訳すると「移民者向けドイツ語テスト」のこと。ドイツ語を学びたい外国人やドイツに移住した外国人向けの言語試験です。統合コースの最終言語テストとして受けることが可能です。
つまり、統合コース(インテグレーションコース)を受講した人が最後に言語テストとして実施するのがDTZです。
DTZの内容
DTZは、ドイツ語の基本的なコミュニケーション能力を測定するための試験です。移民者がドイツでの生活や労働に適したドイツ語能力を有しているかを判定するために使用されます。
例えば、ドイツ語を使ってショッピングや病院、電車やバスなど、日常生活での行動ができるようになったり、感情の表現や意見などをドイツ語で伝えることが可能になるレベルのドイツ語力のことです。
移民向けのドイツ語テストのテーマは、移民がドイツ語で行動したい、またはドイツ語で行動しなければならない12の行動分野を反映しています。
- 政府機関および公的機関
- 職業と仕事探し
- 初期教育と継続教育
- 銀行と保険
- 子どもの世話と教育
- ショッピング、健康、メディア利用、移動手段、教育/進学、住まい
試験では異分野コミュニケーション領域も取り上げられます。
- 移住状況への対処
- 感情の実現
- 態度と意見
- 意見の相違や対立への対処
- 社会的な関係の構築
- 自身の言語学習への取り組み方の認識
引用元:https://www.gast.de/de/forschung-entwicklung/entwicklung/auftraege/deutsch-test-fuer-zuwanderer-dtz/der-dtz-auf-einen-blick
イメージとしては、生活していく上で必要になるドイツ語レベルて感じかな。
統合コース(Integrationskurs)
統合コースとは、簡単にいうと、ドイツ語を使って日常生活ができるようになるレベルを目指し学ぶ、移民向けのドイツ語コースのことです。
また、統合コースは、2つのコースで構成されています。
統合コース(インテグレーションコース)について詳しくは下記のサイトから確認できます。
※右上あたりの設定で言語を英語にも変更できます。
語学コース(Sprachkurs)
- 日常生活の重要なトピックについて、ドイツ語を学びます。
- 語学コースの最後に試験として実施されるのが、DTZテストです。
このDTZテストでB1をとる必要があるんだね!
オリエンテーリングスコース(Orientierungskurs)
- ドイツの法制度、歴史、文化などを学びます。
- オリエンテーリングスコースは、最終テスト”Leben in Deutschland“を受けて完了します。
つまり統合コースでは、DTZとLeben in Deutschland の2つのテストを実施することになります。
Leben in Deutschland については選択式のテストなのでそんなに難しくなかったです。
統合コースの参加資格と参加義務
ざっくりいうと、日本人の場合は
- ドイツへの長期滞在許可証か永住権を持っている場合 → 参加資格がある
- 参加資格があり、十分なドイツ語力がないと入国管理局が判断した場合→参加が義務になる
私の場合、入国管理局(外国人局)から通達が届いたので、参加は義務にあたりますね!
特別な事情がある場合を除いて、統合コースを受講する必要がありました。
2005年1月1日以降に滞在許可を取得していて、ドイツ語で簡単または十分な方法でコミュニケーションができない場合は、統合コースを受講する必要があります。入国管理局は滞在許可証を発行する際に参加義務を決定します。
詳しくはこちらに載っています。
言い換えると、入国管理局(外国人局)が参加義務の判断をしているということ。
私の住んでる地域では、ドイツ語A2の証明書を持っている人でも統合コースを受講する必要があると判断された人もいれば、他の地域に住んでいて、A1の証明書だけ持っている人には参加義務の通達はなかったりと、基準も地域の入国管理局によって異なるようです。
インテンシブコース(Intensivkurs)
インテンシブコースとは、ドイツ語の統合コースを集中的に短期間で学ぶ集中コースのことです。短期で学べる為、時間と受講費用を節約したい人にもおすすめです。
一般の統合コースとの比較
一般の統合コース:計700レッスン | インテンシブコース:計430レッスン |
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語学コース:600レッスン | 語学コース:400レッスン |
オリエンテーリングスコース:100レッスン | オリエンテーリングスコース:30レッスン |
語学コースについては、一般の統合コースはインテンシブコースの1.5倍。オリエンテーリングスについては3倍以上のボリュームの差があります。
1レッスン毎に 2.29 ユーロ(2023年6月時点)だから、結構大きい差だよね!
その他の特別なコース
インテンシブコースの他にも、特別なコースがいくつかあります。
- お子さんがいる方におすすめの保護者向けコース
- 26歳未満の若い方向けのコース
詳しくはこちらを確認してみてください。
インテンシブコースのメリットとデメリット
インテンシブコースでは、一般のコースよりも少ない限られた時間でドイツ語を学ぶため、コースに通っている期間はドイツ語漬けになる覚悟が必要です。
メリット
- 時間と費用の節約になる
- 生徒のモチベーションが高い
- 国籍がバラバラなので共通言語がドイツ語になる
デメリット
- どんどん新しいことを覚えるので予習復習必須
- ひとつの内容に対して浅くしか学べない
- 学んだことが定着するかはその人次第
インテンシブコースのデメリット
インテンシブコースでは、授業の時間が一般のコースよりも少ないので、重点的に学ぶことも限られています。
この文法は1度練習したら次。このトピックに関しては似たような内容なので次。というような感じで、授業速度はかなりスピーディー。
なので、予習と復習がとても大事になってきます。働きながらだったり、小さいお子さんがいる家庭など、家で学習する時間がなかなかとれない場合は、授業についていくのが難しいかもしれません。
また、習ったことは反復して練習しないと、定着するまで時間がかかるので、どれくらい身につくかに関しては個人の差が大きいです。
インテンシブコース最大のメリット
インテンシブコース最大のメリットは「生徒のモチベーションが高いこと」
先に少し述べてますが、そもそも統合コースを学ぶのは義務である人が多いです。なので、仕方なく統合コースを受講している人も中にはいます。
その中でもインテンシブコースを受講している人は、自ら選択をして短期集中のこのコースに参加しているので、生徒の学習意欲が通常のコースに比べると高いです。
生徒のモチベーションが高いと
- グループワークが捗る
- いい勉強法などを一緒に模索できる
- 授業中もアクティブになる
こういったメリットも出てきます◎
授業時間の中では、発言できる時間も限られているため「私が答えたいです!」とアピールしていくのが大事になってきます。生徒のモチベーションが高いと、アピール合戦になるので、必然と自分自身も積極的に授業に参加していくようになります。
どんどん周りが挙手するので、私も必死になりました!笑
また、授業中には複数人でディスカッションしたり、ペアで会話の練習をしたりする場面があります。そういったグループワークの際も、円滑に取り組むことができたり、休憩時間には授業中にわからなかった文法のすり合わせをしたりなど、いい刺激をもらいながらドイツ語学習に励むことができます。
実際のインテンシブコース
ドイツの市や州によって運営されている学校『VHS(Volkshochschule)』で、私はインテンシブコースを受講しました。
期間
私の場合、ドイツ語の初級であるA1-1からスタートし、最終テストまで約4か月半でした。
※クリスマスと中休みの2週間を含めるので、実質の授業は約4ヶ月ほど。
- お昼から夕方まで1日4時間/週に5日
- 1モジュール3~4週間(A1からB1までの内容が4モジュールで構成)
- オリエンテーリングスコースが1~2週間
費用の返金や免除
受講料について
- 統合コースの授業時間単位ごとに 2.29 ユーロ(2023年6月時点)
- 2022年8月1日より前に統合コースに登録した場合は 2.20 ユーロ
統合コースの受講証明書を受け取ってから2年以内に最終試験に合格すると、支払った受講料の半額が返金されます。経済的な事情などによっては、費用負担金が免除されることもあります。
私も試験の合格証明書が届いてからすぐに手続きをし、授業料の半額が返金されました!
内訳:受講証明書を受け取ってからコースをスタートするまで約2ヶ月→コース自体が約4ヶ月半→結果が届くまで約3ヶ月→返金手続きをして振込み確認まで約1ヶ月
返金の申請方法などはこちらをご覧ください。
返金抜きにしても統合コースの受講料は破格だと思うので、ドイツ語を学びたい人にとって統合コースは、リーズナブルに学べるオススメのコースです。
生徒
初めは10人ちょっとぐらいで、コースの途中から少しずつ人数が増えて最終的には16人のクラスでした。
国籍もバラバラで、イタリアやポーランドなどのヨーロッパから、アジアだとタイ、中国の生徒がいました。
統合コースの担当者によると、一般的な統合コースではアラブ語圏の参加者の割合が高くなる傾向があり、その結果、休憩時間には主にアラブ語での会話が多くなるとのこと。一方、インテンシブコースでは多国籍の参加者が集まり、共通言語としてドイツ語を話すことになるので、ドイツ語を積極的に使用する機会が増えるとのことでした。
先生
私の通っていたインテンシブコースの場合、3人の先生が曜日毎で担当していました。(月火・水・木金)
複数の先生に教わるのは
- それぞれの先生の強みが違い、学べることが多い
- 先生が体調を崩した場合も他の先生に代替してもらえる
こういった理由から個人的にはメリットが大きいと思っています。
また、私のコースの先生たちはみんな移民だったため、ドイツ語特有のわかりにくい単語や文法など、経験者としての立場からしかわからない『外国語として学ぶドイツ語』を教わることができたのは、ラッキーでした。
機会があったら、どんな先生が担当になるのか尋ねておくのもいいかもしれません。
授業
私の通っていたインテンシブコースでは、『ドイツ語オンリー』と『辞書を使うのは禁止』という2つのルールがありました。
授業中は、英語も含めたドイツ語以外の言語を話すことはNG。ドイツ語を習いに来ているのに、初めから辞書なしでドイツ語だけで分かるのかな…と不安でしたが、意外となんとかなりました!笑
担当の先生は、ジェスチャーや写真、絵を使ってうまく説明してくれていました。「あなたたちが初めてのインテンシブコースの生徒じゃないから大丈夫よ!」とよく言っていたのも心強かったです。
ただ、授業が進むにつれて習う単語も難しくなっていくので、予習でわからない単語を調べておくのは必須でした。
まとめ
インテンシブコースでは、集中的にドイツ語を学ぶ覚悟が必要ですが、初心者がドイツ語を学ぶ環境としては最適です。
短期間で学べる時間のメリットはもちろんですが、周りの生徒の学習意欲が高いといい刺激にもなり、なにより語学を続けていく上で重要となるモチベーションに繋がります。
DTZへ向けてのコース選びに、インテンシブコースもぜひ検討してみてください!
▼DTZ試験の詳しい勉強方法については、こちらの記事をご覧ください。
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